ワンダフルエラー
「サラのこと、好きだって自覚した時、相当焦った」
星の無い空を、二人で見上げながら帰り道を歩く。
ぽつりと呟いた言葉に、サラは驚いたような表情を浮かべた。
「わたしも、一緒だよ」
返された言葉に、俺は思わず笑ってしまった。
「サラのことはいて当たり前の、空気みたいな存在だと思ってたし。でも、違った」
「違う?」
「いなくなると、凄い辛いことに今更気づいて。知らない振りして誤魔化そうとしたけど無理だった」
自分勝手な想いで、色んな人を傷つけた。
こんな自分のことを、好きだといってくれた青山さんの顔がふと浮かぶ。
「謝っときなよ」
「うん…て、え?」
壊すのがこわくて、失ってしまうのがこわくて、
ずっと見ない振りをしていた。
でも、よかった。
手を繋いだときの温かさも、
泣きたいくらいに愛しいと想う気持ちも、
今この距離に立てたから、わかったことで。