ワンダフルエラー
憂鬱オレンジ
その日、わたしの足取りはとても軽かった。
北側の校舎5階にある生徒会室へ向かうのに、階段を3段飛ばしで上がり、勢いよく扉を開ける。
部屋のど真ん中に、勝手に設置したコタツに入って蜜柑の皮を向いていた生徒会副会長の入江十夜が驚いた顔をして振り返った。
「ねえねえ、十夜、聞いて!」
駆け込むように、布団を捲り上げて隣に入ると、「つめたっ」と十夜が顔を顰めた。わたしはにやにやしながら、同じように蜜柑を手にとって甘く熟した実を頬張った。
「なんだ、どうした!落ち着け、サラ!」
「落ち着いてなんていられませんよ!わたし、ついに彼に告白された!」
「まじで!すげぇじゃん、あれだろ、ほら、酒屋の息子の、あれ、名前なんだっけ」
感嘆の声を漏らしながらのそのそとコタツから這い出る十夜。キメ細やかな十夜の白い肌が、こたつの熱でほんのり蒸気を帯びている。
けれど、それ以上に、わたしの頬は赤い、と、思う。