ワンダフルエラー
悔しくて、寂しかったけど、大声で泣いたあとに不思議と悲しいという感情は残らなかった。
涙と一緒に、色々なものが流れ落ちて、酷くすっきりとした気分。
「ほい。ココアでよかった?」
「うん、ありがとう」
受け取ったココアの缶は、じわりと温かくてほっとする。横に座る十夜の鼻が赤くて、ほんとうに急いで走ってきてくれたんだと、なんだか申し訳なくなった。
「…わたし、振られた」
「だろうと思った」
「別れる前に、もう一回セックスしようって言われてさ。ぼこぼこにしてやったのよ。人のことなんだと思ってんのかね」
「最低だな、隆志は。10日で別れられて良かったくらいだ」
「……ありがと」