ワンダフルエラー
「そうだよ、酒屋の息子の隆志だよ。なんて言われたと思う?」
「さあ?普通に、好きだ、とか?」
「ちっちっちっ」
人差し指を左右に振りながら、にんまりと笑みを浮かべるのに、十夜は怪訝そうな顔をしつつも、黙ってわたしを見つめる。
「"更ちゃんの為なら、僕は死ねる!"」
「…っ」
十夜が口角を少し釣りあげて何か笑いを我慢している風だったので、ムカついて脇腹に軽く拳を入れる。
「まあ、軽薄な十夜君には一生言えない台詞だね」
「言えるって。サラ、おまえのためなら…死ねる…、訳ないよな、あはは」
「もういい、お前もういい。それ以上喋んないでくんない?うざいし、なんか色々汚れるから」