ワンダフルエラー





次の日の放課後。

生徒会室に行けば、やはりそこにはいつものように十夜がいた。


「十夜くーん」


こちらに背を向けている十夜の背に声をかける。


「あー、サラか。おまえも相変わらず暇だな」


ゆっくりとこちらを振り向きながら十夜が言った。その白い頬は夕日で紅に染められている。


「うっさいわ」


きらきらと光を受ける十夜に魅入りながらも、わたしはいつもどおりにひとこと吐き捨てた。

きのうの告白をどう自慢してくるのか。身構えているのに、不思議と十夜はいっこうにその話を持ち出さない。


「なあ、冬季の球技大会の企画書、これでいいんだっけ?」

「…ばーか、違うよ。そっちの方」

「あー、これか」

「…そうそう」


おかしいなあ。

いつもなら待っていましたとばかりに自慢してくるはずなのに。どうしたっていうんだろう。

まさか。十夜の癖に、フられた…じゃない、フったばかりのわたしに気遣って言い出せないとか?


余計なお世話にも程がある。

< 31 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop