ワンダフルエラー
次の日の放課後。
生徒会室に行けば、やはりそこにはいつものように十夜がいた。
「十夜くーん」
こちらに背を向けている十夜の背に声をかける。
「あー、サラか。おまえも相変わらず暇だな」
ゆっくりとこちらを振り向きながら十夜が言った。その白い頬は夕日で紅に染められている。
「うっさいわ」
きらきらと光を受ける十夜に魅入りながらも、わたしはいつもどおりにひとこと吐き捨てた。
きのうの告白をどう自慢してくるのか。身構えているのに、不思議と十夜はいっこうにその話を持ち出さない。
「なあ、冬季の球技大会の企画書、これでいいんだっけ?」
「…ばーか、違うよ。そっちの方」
「あー、これか」
「…そうそう」
おかしいなあ。
いつもなら待っていましたとばかりに自慢してくるはずなのに。どうしたっていうんだろう。
まさか。十夜の癖に、フられた…じゃない、フったばかりのわたしに気遣って言い出せないとか?
余計なお世話にも程がある。