ワンダフルエラー

首を傾げている十夜に溜息をつきつつ、コタツの上に置かれた籐の籠に手を伸ばす。

いつもは蜜柑と分厚い醤油せんべいなのに、今日はキャラメル色をしたクッキーが品よく並んでいた。一枚とって頬張る。


「…甘っ」

「ああ、それ英二が置いてったやつ。今週の買出し当番英二だからしばらく甘いもの続きかもな」

「英二…、あんな不良面してるくせに甘党だったのか」


生徒会メンバーの問題児。


「そういえば、最近は教室にもそんないないし、一体何やってるのかな」

「知らね」


ぺっと、吐き捨てるように言う十夜。

わたし達の代の生徒会メンバーが発足されてから、入江十夜と高杉英二は犬猿の仲といってもいいくらい相性は最悪だった。

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