ワンダフルエラー






『おまえ、ほんとに男かよ。女じゃねえの』




初めて、わたし達が顔合わせをした日のことだった。

真正面からそう英二に言われた時の十夜の表情は、今でも忘れられない。

女顔負けの綺麗な顔、昔から実は十夜の一番のコンプレックスだった。

普段割と温厚な性格なのに、それを聞いた瞬間、十夜の身体は英二に向かって飛び出していた。


「ちょっと、とーや!」


慌ててわたし達が止めたからいいものの、危うく初日から副会長をクビになる、いや、もしかしたら停学処分くらい食らっていてもおかしくない状況だった。

あれ以来、十夜は英二を嫌っているし、英二は英二でそんな十夜を面白がっている。

まったく気苦労の多い連中だ。
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