ワンダフルエラー
月光キッスィン
「うわ、寒い…!」
ある程度仕事を終えたわたし達は、誰もいなくなった校舎から屋上へ出た。
この屋上は、生徒会メンバーの特権。
何代か前の生徒会長が愛用していたのをきっかけに、いつの間にかそれが伝統として受け継がれてきたらしい。
わたし達は、給水塔の上まで上がり、満天の星をのんびりと眺めた。
あまりに今日は空が晴れていたから、少し嫌がる十夜を引っ張ってでもこの空が見たかった。
十夜も十夜で、この夜空には感動しているみたいだし。
「はい、十夜」
「お、さんきゅー」
ポットに入れてきたホットココアを十夜に手渡した。
ココアで暖をとりながら、凝り固まった体をゆっくりと伸ばす。
ふと隣を見れば、猫舌の十夜が一生懸命ココアを冷まそうと息を吹きかけていてなんだか可愛い。
「……あんたさあ」
「なんだよ」
「なんだかんだで可愛…じゃない、綺麗な顔してるよね」
言えば、十夜は呆気に取られた顔をして、くっと口角をあげた。
「なにをいまさら」
「うわあ、うざーい」
「つーか、サラにそんなこと言われてもありがたみねえなあ」