ワンダフルエラー
クーッと冷ましたココアを喉に流し込んで、ふっと笑う。
「なにおう!」
わたしは少し声を荒げながら拳を振る。くつくつと笑いながら、十夜がそれに応じた。
昔と一緒。
十夜とは中学校からの付き合いだけど、出会った時からこの距離だけは変わらない。
「それにしても、今日はほんとに空が綺麗」
「そだなー」
「ほらね、屋上来て良かったでしょう」
「……まーな…、というか、サラって意外とこういう粋なこと好きだよな」
笑いながら言う十夜を小さく小突いた。意外と、とか余計ですから。
―その時、
スカートのポケットに入れていた携帯が、鈍く震えながら光る。
「ごめん、わたしだ。………もしもし、ああ、なんだ英二かあ」
十夜よりも若干低い声音。
『てめえ、なんだってなんだよ』
「あはは、ごめんごめん。英二のメモリー、アドレスだけしか登録してなくて誰か分からなかった」
『…登録しとけよ。なあ、おまえ今どこにいる?』