ワンダフルエラー

きらきらと輝く星空の下、静かな光を放つ満月。十夜は、じっとそれを見上げている。

銀色の光。

長い睫毛が、白い頬にくっきりと黒い影を落とす。


綺麗だな。

わたしは、まるで吸いつけられるようにその光景を見つめていた。じわりと、胸に浮かぶ欲望。


「…んー」

「な、なんだよ…サラ。怖いって」


怯える十夜にニヤリと笑って、勢いのまま行動に移す。


「いただき!」

「え」


近距離にいる十夜の肩に手を回し、さらに距離をつめて、攫う様に、十夜の唇を奪った。


「おい!」


ぺろりと舌を出すわたしに、十夜は乗りよく突っこんだ。


「や、ごめんごめん。あんまり綺麗だから、ここでチュー位しとかなきゃ勿体無いかなあ、なんて」

「…おまえって、昔からそういうやつだよな」

< 40 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop