ワンダフルエラー
十夜と別れたわたしは、ペダルに思い切り体重を乗せてぐんぐんと自転車を走らせた。
冷たい風が、頬に痛い。
英二の住む団地付近で、携帯からさっき登録したばかりの番号で呼び出す。
五分もしないうちに、普段の着崩した制服ではなくて、ラフな格好をした英二が現れた。
「悪いな」
「…悪いな…じゃ、ねえ!」
思わず、英二を鞄で殴る。
「痛って…、なんだよ、ほら」
なんだよだと…、内心苛立ちながらUSBメモリーを受け取った。
「ちゃんとやってあるんでしょうね」
「もちろん」
そう言ってニヤリと笑った。
…この笑み、いまひとつ信用出来ないんだよな。