ワンダフルエラー
「英二こそ、そろそろ不特定多数とかやめなよね。絶対後で問題起こるから」
「抜かりはねえよ」
ニヤリと口角をあげる英二。
コンビニの前とかでたむろしていたら絶対よけたくなるような男だ。
十夜とはある意味対極の位置にいると思う(まあ、二人揃って女にモテる辺りは同じかもしれないけど)
「まあ、今不良とか流行ってるし、いまのうちにイイ女絞ってゲットしときなよ」
「…余計なお世話だ」
「あはは、それじゃあ、わたしもそろそろ帰る。悪かったね、呼び出して。コーヒーごちそうさま」
自転車に跨って、ペダルを漕ごうと足をかけた、
その時。
「なあ、」
英二が後ろから呼びかける。なに、ともう一度振り返れば、人を馬鹿にしたような目をしてわたしを見ていた。
「俺の女にならねえ?」
その低い声音は、暗闇の中で酷く響いた。