ワンダフルエラー
「まあ、確かに恋愛感情はねえけど」
「はいはい、そうでしょうねえ」
「面倒臭くなさそうだし」
「…何その基準」
英二は、その女受けしそうな顔にゆっくりと笑みを浮かべながら言う。
「それに、サラとならヤってもいいぜ」
「…下品!」
「お前が言うな。つうか、今更純情ぶる気?」
ぺかん、とわたしの頭を軽く叩く。純情ぶってなんてないけど、これでも一応乙女だ。
「言っておくけど、それってセフレっていうんだからね」
「そういや、そうだな」
「告白モドキで人を巻き込まないで」
へいへい、ておまえ、ちゃんと聞いてるのか怪しいものだ。
このチャラチャラした性格にだけは、今になってもなじむことが出来ない。わたしは、一つの恋にはいつも本気だ。
とっかえひっかえ、みたく言われる時もあるけどそれは誤解なのだ。
ただ周期が短いだけで全部、本気。
「まあ、俺と付き合いたくなったら言えよ」
「永遠に訪れないと思うよ」
「じゃあヤりたくなったら………痛ぇ!」
下品な男を自転車で轢いておいた。もう、早く帰ろう。この男に付き合いきれない。
わたしは今度こそこの場を後にした。