ワンダフルエラー

生徒会の事務的な内容を、ポテトサラダを頬張りながら流し読みする。

最終的なチェックは、生徒会長であるわたしの役目だ。

それじゃ、お疲れ、また明日な。そう締めくくられた文章。アドレスが公用のものだったから、多分あの後しばらく生徒会室に残っていたんだろう。


『おつかれ、確認しました(`・ω・´)』


返信してメールソフトを閉じた。

ゆっくりと、熱いお茶を飲みながらふと台所を見れば、そこに仲良さそうに揃いのマグカップが並んでいる。

結局一度も使われることがなかったそれ。

ああ、ここ最近忙しかったせいかまだ捨て忘れていたモノがあった。


「…隆志君」


ぽつりと、わたしの口から零れ落ちる言葉。

疲れて重たい腰を勢いよくあげて、マグカップを一つ、燃えない用のゴミ箱に投げ捨てた。


ガチャン、というマグカップの悲鳴が心地良い。

これが隆志君の悲鳴だったらもっと気持ち良いのに、なんてサディスティックなことを考えた。

わたしも大概、しつこい性格だ。

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