ワンダフルエラー

わたしと真帆に向かって、一人の女子生徒が眉を吊り上げて駆け寄ってくる。言葉を交わした事はなかったけれど、その顔には確実に見覚えがあった。

そして、それは瞬間的な出来事。

彼女は勢いよく手を上げて、


「サラッ!」


真帆が咄嗟に叫ぶ。それに反応できずにいたわたしに、電光石火のような早さで掌が振り下ろされた。

同時に、バチンという派手な音と頬に鋭い痛みが走った。

え、なんで、どうして?

驚きで目を瞬かせることしか出来ない。話したこともない女子生徒に、どうして引っ叩かれなければならないのか。


「ちょっと、貴女!」


怒りよりも驚きに感情が傾いたわたしのかわりに、真帆が声を上げた。

そう、この子、こないだ十夜に告白していたミス誠東だ。


わたしを睨み上げるその大きな瞳には、透明の雫が溜まっている。

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