ワンダフルエラー
ざわざわと、野次馬たちがこちらに奇異の視線を向けている。わたしは溜息をついて、青山さんの細くて白い腕をとった。
「な…なにすんの!」
振り払おうと、青山さんが力を込める。振りほどけないようにわたしはさらにぎゅっと握った。
「生徒会室に連行」
「はァ!?ふざけないでよ!」
「ふざけてるのはどっち?喋ったことの無い他人を不意打ちで引っ叩くあなただよね」
反論しようと口を開くも、青山さんからそれ以上言葉が出ることはなかった。
観念したように、手に込められていた力がスッと抜ける。それにホッとして、なぜだかわたしより苛立っている様子の真帆に微笑んだ。
真帆は小さく溜息を吐く。
「これだけ、運んだら私もすぐに行くわ」
重そうな束を少し持ち上げて、言う。
わたしは、待っていると告げて青山さんと先に生徒会室に向かうことにした。
青山さんも、それ以上反抗することもなく、むしろ先程の態度が嘘の様に静かについて来た。