ワンダフルエラー
「で?」
真帆は足を組みながら、ジッと青山さんを見据える。美人が睨むと迫力満天だ。放っておけばそのまま咬みつきそうな勢い。
「サラを引っ叩いた理由を説明してちょうだい」
抑揚なく、言う。
濡れたハンカチを当てているものの、頬は未だジンジンと痛む。
「……」
青山さんは、視線を下げたまま、なかなか口を割ろうとしない。
『あんただって、一緒よ!遊ばれてるだけなんだから…!』
涙目の青山さんが言ったセリフ。
遊ばれたってどういうこと?十夜は青山さんを振ったとは言っていたけど、それ以上のことは何も言っていなかったのに。
「青山さん」
なるべく、感情を煽らない様に出来るだけ声音を弱めて話掛ける。何の反応も返してはくれないけど、わたしは構わず言葉を続けた。