ワンダフルエラー

「で?」


真帆は足を組みながら、ジッと青山さんを見据える。美人が睨むと迫力満天だ。放っておけばそのまま咬みつきそうな勢い。


「サラを引っ叩いた理由を説明してちょうだい」


抑揚なく、言う。

濡れたハンカチを当てているものの、頬は未だジンジンと痛む。


「……」


青山さんは、視線を下げたまま、なかなか口を割ろうとしない。



『あんただって、一緒よ!遊ばれてるだけなんだから…!』



涙目の青山さんが言ったセリフ。

遊ばれたってどういうこと?十夜は青山さんを振ったとは言っていたけど、それ以上のことは何も言っていなかったのに。


「青山さん」


なるべく、感情を煽らない様に出来るだけ声音を弱めて話掛ける。何の反応も返してはくれないけど、わたしは構わず言葉を続けた。

< 62 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop