ワンダフルエラー
「…うわぁああ…」
鞄を傘代わりに、わたしは自分のアパートまで猛ダッシュ。
真帆と別れたすぐ後、狙った様に雨の強さが増した。
ばしゃばしゃと飛沫を飛ばしながら走る。ようやく我が家に辿り着いた頃には、既に上から下までびしょ濡れだった。
「ふぇ…っえ…ぶえぇっくしょん!」
親父顔負けのクシャミをする。震えながらストーブを付けようとスイッチを押した。
「……あれ?」
うんともすんとも言わない。
「ちょ、おおい!なんだよチクショー!」
暖房の調子が悪くなってから購入したストーブ。節約になるし、直接出る熱風が温かくてずっと愛用している冷え性のわたしの強い味方。
表示されたマークを見れば、なんとまあ運の悪い事に灯油が切れているじゃないか!
ぶるっと身体が震えた。
「…熱いシャワー…浴びよう」
とぼとぼと立ち上がって洗面所に向かった。まったく最近ツイてない。