ワンダフルエラー
熱いシャワーをしばらく浴び続ける。
本当は浴槽でゆっくりお湯に使って疲れをとりたいところだけど、この安アパートにそんなものはついていない。
考えないようにしているのに、十夜のことばかり頭に浮かんだ。
「なんでだろう」
ぽつりと呟く。
何でも話せる親友だと思っていたのに、裏切られた気分だ。
100パーセントは無理でも、それに近いくらいにお互いがわかりあえてると信じてた。
なのに、最近の十夜は、わからない。
あんなに十夜を好きな青山さんを振って、でも結局身体の関係は持って。どうしてそんなことを…。
「なんで、何も話してくれないの」
いままで近くにいたはずなのに、急に離れはじめてしまったように感じて、なんだか酷く寂しくなった。
でもそんな我侭な感情を押し付けることも出来ない意気地なしなわたしは、結局ここから動けずじまいなのだ。