ワンダフルエラー
微熱ラプソディ
―ああ、やっぱり…。
布団の中でそう思った。
昨晩、熱いシャワーを浴びても結局体の震えは止まらなかった。むしろ寒気はどんどんと増していった。
「けほっ…だるい…寒い…喉痛い…」
冬の冷たい雨に打たれ続けた上に、ストーブのつかない冷えた部屋にいたのだから当たり前と言えば当たり前なのだけど。
「…風邪ね」
「真帆…ホント、ごめん。何から何まで」
案の定、それは分かりやすい形で体に変調をもたらしてしまった。
学校へ行けるわけもなく、ごめん休むと真帆にメールをすれば、放課後に桃缶を持って真帆がきてくれたのだ。
本当、わたしには勿体無いくらいの友達。
もし世界中が真帆の敵になったとしても、わたしだけは真帆の味方だからね!ここに誓うよ。
……。
…あァ、熱で自分の思考がおかしい。
「サラは何も気にしなくていいのよ。皆、自分の時間を削ってサラの仕事をしておくから」
ニコッと微笑みながら嫌味を言うのを忘れない真帆様、流石です。涙出そうです。
桃缶の桃を皿に並べて、真帆はゆっくりと立ち上がる。
「もう帰るの?」
「このあとバイトなの。ごめんね」
「ううん、ありがと」
真帆はわたしの頭を軽く撫でる。