ワンダフルエラー
はやくよくなりなさいよ、そう言って真帆は部屋を出て行った。
鍵締めなきゃ、でも起き上がるの面倒くさい…。
ただ雨に打たれただけが原因じゃないのは分かっていた。ここのところ、生徒会の仕事に追われて不規則な生活も続いていたから、そんなのが積もり積もったのだ。
ピンポン、ピンポン、とインターホンが鳴る。
「真帆?忘れ物でもしたの?鍵開いてるよ」
そう声を掛ければ、ガチャリとドアが開く。入ってきた人物に思わず目を見開いた。
「なに、真帆も来てたんだ。入れ違い?ていうかサラ、鍵くらい閉めろよ、無用心すぎ」
当然の様に上がりこんできたのは、十夜だった。
驚いて金魚のように口をぱくぱくさせているわたしを気にも止めず、テーブルに置いてあった桃を頬張る十夜(…何しに来たんだ)
「ごほっ…けほっ」
「…大丈夫?珍しいな、サラが風邪ひくなんて」
「わたしもビックリよ」
十夜はわたしのすぐ横に腰掛けた。
じっとわたしを見つめる十夜の顔を直視できず、わたしはそっと視線を横にずらした。