ワンダフルエラー
「じゃあ、喧嘩でもしたのかよ」
「ううん。全然まったく」
「俺もう帰る」
くるりとわたしに背を向けたので、制服を思いっきり引っ張って引き止める。
「…好きになってしまいました」
わたしから離れようとしていた英二が、くるりと振り返った。
その目は驚きに満ちていて、なんだか言ってしまったことが恥ずかしくて仕方ない。
「どうしよう」
ぽつりと呟いた。
英二は、やれやれと鞄をソファに放り投げた。そしてドカッと座る。
「聞くだけなら聞いてやるよ」
「…ありがと」
わたしも英二の目の前に座りなおした。
「一応聞くけど、十夜だよな?好きになったって」
「…うん…」
「つぅか、今更だよなァ」
けらけら笑う英二が心底憎たらしい。そうですよ、今更ですよ。
「告れば?」
「簡単に言うな!」