ワンダフルエラー

わたしが勢いよくそう言えば、英二は理解出来ないというように首を傾げた。


「なんでだよ。俺が見る限り、あいつァお前のこと、特別に見てると思うぜ」

「…駄目」

「だから…なんで」


ここ数日、ずっと自分の気持ちを隠して、偽って、十夜と接してきた。嘘は苦手じゃなかったから上手く誤魔化せていたはずだ。

十夜も、多分…気づいてないはず。

けれど、どんなに上手く嘘をついても、一人になって湧きあがってくるのは虚しい感情だった。


「A=Bじゃなきゃ…、ずっと一緒にいられない」

「はァ?なんだよそれ」


虚しくて、虚しくて、けれどなんとかそれを押し殺してきたけど限界だった。

こうして英二に押し殺していたものを吐き出すうちに、気持ちが高ぶって出なくていいものまで、流れ出る。


「サラ…、おまえ…なに泣いてんの」

「ごめん…ほんと…あんた関係ないのに」

< 86 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop