ワンダフルエラー
瞬間に、視界が真っ暗。
ばたんとドアの閉まる音が遠くに聞こえる。わたしは、強いくらいの力で隆志君に抱きしめられていた。
「ああ、会いたかった。更ちゃん」
「わたしもだよ。隆志君、部活でお腹空いているよね。すぐにパスタ茹でるよ」
隆志君は、コートと制服の上着を脱いで部屋の隅に置き、なんの躊躇いもなくブチブチとシャツのボタンを外していく。
あっけにとられてその様子を見ていると、困ったように隆志君が笑う。
「汗かいて気持ち悪いんだ。シャワー借りていい?」
「あ、うん。勿論。タオルこれ使って」
慌てて、押入れから予備のバスタオルを手渡すと、隆志君はそそくさとバスルームへ向い、すぐにシャワーが吹き出す音が聞こえた。
「…茹でて、いいかな」
鍋に2人分のパスタを入れて、くるくると菜箸でかき混ぜる。