ワンダフルエラー
慣れてきた視界にうつる十夜の顔は、いつもと同じだった。
「俺は、サラみたいに彼氏とデートしてたわけじゃないし」
「…はァ?何言っちゃってんの、十夜。珍しく真面目に仕事したから少し疲れてるんじゃない」
おかしなことを言う十夜に、吐き出すようにそう言った。
わたしの様子にクツクツと笑う十夜。
「さっき、英二に会った」
「…あ…そうなんだ」
「一緒にいたんだろ」
嘘をついても仕方が無いし、こればかりは誤魔化しようもない。
仕方なく、コクと頷いた。
「ていうか、勝手に彼氏にしないでよ!」
眉間に皺をつくって、必死に抗議する。
それに対して、十夜は小さく首を傾げながら、違うの?つまらない、と言った。
月明かりを纏わなくてもわかる、整った顔。
つい、見惚れてしまう。
それに気づいたのか、十夜はにこっと笑って言った。