ワンダフルエラー
押さえつけられた両手が酷く痛い。
「…っ…やめて…」
繰り返される激しいキスの合間に、声を漏らす。
「…ごめん、無理」
少し骨張った手がわたしのシャツのボタンに手をかけた。
その仕草は優しくて、なんだか今の状況に矛盾していて可笑しい。
わたしを見つめるオンナ顔負けの綺麗な顔は、どこか苦しそうに歪んでいる。
なんであんたがそんな顔するの、押し倒されて無理矢理クチビルを奪われているのはわたしの方なのに。
涙が、一筋わたしの目じりから流れた。
十夜はそれを舐める様にキスする。
「やだ…っァ…ッ」
肌蹴た制服の隙間から、侵入する十夜の手。
嫌い、嫌い、大嫌い。
いなくなっちゃえ。
そう言えたらどんなに楽か。
こんなことされえるのに、どうしてそんな簡単な言葉が出てこない。
ぽつりと、冷たい雫がわたしの頬に落ちる。
―…雨?
激しいキスで、頭の芯は鈍く痺れる。
もう、駄目だ。