Last.
『……違う。これは今更現れて…ムカついての悔し涙だよ。』



男は食い下がらない。



『…なぁ、美月。俺、真剣なんだ。仕事も見つかったし、やっとまともに生活出来るようになった。』



『お願い……帰って。』



俯いたまま美月は言った。



『美月……結婚しよう。』



ゆっくりと美月は男に視線を向けた。



『だから迎えに来た。もうこんなところに居なくてもいいよ。俺が自由にしてあげるから。』



美月の足が動き、男の前で止まった。



『タケルは…変わらないね。』



『変わらないよ。美月を想う気持ちは。』



フッと笑う、冷たい笑み。
時々見せる美月の闇の部分だ。



< 103 / 233 >

この作品をシェア

pagetop