Last.
そんな近くに居たのに……。



これから話す美月の内容は、
俺の全く知らない、
未知の世界だった。





鎌倉で生まれ育ったこと。



親は、今の美月と同い年で、美月を産んだこと。



兄弟は居ないこと。



小学校に上がったあたりで、親の仲が悪くなったこと。



原因は父親の浮気で、
美月も何度か目撃していたこと。



その頃から、父親から度々暴力をふるわれ始めたこと。



母親はノイローゼ気味になり、神経が狂いだした。



そして、父親は居なくなった。
母親を捨てて。



数日後、母親も姿を眩ました。



『私の人生も狂いだした瞬間』
と力無く笑って美月は言った。



両親の失踪を機に、美月は児童相談所から施設へ移った。



捜索願は出したものの、事件性がないと警察も動かない。



< 109 / 233 >

この作品をシェア

pagetop