Last.
全くの音信不通のまま、2年が過ぎていること。



そして、移った施設で出逢ったのが、
同い年のタケルという男。



『……初めて、心底好きになった相手だった。』



ポツリと言う美月の言葉が、鋭く胸を突き刺す。



どんな出逢いで、どう結びついたのかは語らなかった。



ただ一言、最後に言ったこと。



『でもアイツ……薬やってたんだ。知らない間に。』



顔色変えずに言った後、俺を見て。



『一番近くに居ながら…私は何も気付かなかった…。気付いてやれなかった…。それだけが今も心残りなの…。』



大きな瞳を潤ませながら、言葉を詰まらせた。



美月の中に、自分以外の男が居る。
そのことが酷く俺の胸を締め付ける。



頬に触れる。



あの男のことは考えるなと言いたい。



美月…俺だけを見て…。









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