Last.
『ひどいよね…忘れるのに2年かかったのに、また現れるなんてさ…。』



その次の言葉を聞くのが怖くなって、
美月の手を握った。



『啓吾……抱きしめて……。』



弱々しく懇願するか細い身体を、両手いっぱい抱きしめた。



美月…、どこにも行くな。



『…忘れたいよ。思い出したくないの…啓吾。』



かすれた声で訴える美月。



『俺が忘れさせてやるよ!だから安心してついて来い。俺以外考えるな。』



美月の涙が肩に滲む。



『啓吾…啓吾…。』



小刻みに震える小さな肩をなでてやることしか、俺には出来ないのか…。



美月…?
今、何を考えてる…?



少しでも俺のことを想ってくれてるって、
うぬぼれてもいいよな……!?







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