Last.
『あなたが五十嵐啓吾さん?』



施設に着くなり館長に似た人に言われる。



『わざわざ来てくれてありがとう。でも、本当にあの子、ここには来てないの。姉から聞いてびっくりしたけれど…。』



やっぱりダメか…。



館長はそっと一枚の紙を差し出してくれた。



その紙には住所が書かれてあった。



『篠原さんの両親の墓がある場所よ。可能性は高いと思う。』



どのみち聞くつもりだっただけに、
頭を下げてすぐに向かった。



花は飾られてなかったが、線香をあげた跡があった。



“篠原家之墓”



静かに手を合わす。



美月もここに来たんだろうか……。



もしも来てたなら、何を想い、
ここに立っていたんだろうか……。



黙って見ていただろうか。



泣いていなかっただろうか。















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