Last.
バレないように小声で、ちゃんと塀の外へ出るまで美月も気を使ってくれる。



でもそんなことは長くは続かないもので…。



突然、光を当てられ、
『誰ですか?』と背後から声を掛けられる。



ビクッと身体が反応し、振り返ると、
年配のおばさんが立っていた。



美月との会話も途切れる。



おばさんが言った。



『あなた…最近出入りしてるわよね!?』



『すみません。』



咄嗟の判断で謝った。



遠くからバタバタと走る足音が、段々近付いてくるのがわかった。



バカ…。
来てどうすんだよ。


 

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