夕闇の旋律
「詩音っ!!」

ばんっと音を立ててドアが開いた。

音を立てた張本人のくせに悠矢はびくっと身を強張らせる。

「どうしたの……?」

手で耳を押さえて詩音は悠矢に尋ねた。

悠矢は外出用の服装をしている。

コートを羽織ってマフラーをして、傘を持ってるだけだけど。

よく見ると、傘は二つある。

簡素なビニール傘が、二つ。

それは、つまり。

「散歩?」

「うん。屋上行こう、詩音」

もちろん、一緒に。

雪にはしゃぎすぎだ、悠矢のバカ。
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