夕闇の旋律
「ごめんなさい」
歌い終わった後、詩音は真っ先に悠矢に謝った。
「え、え?なんで?」
「私、なにかに対してすごく感動したり、感情が動かされると、歌いたくて歌いたくて、しょうがなくなって、他のことが見えなくなっちゃって……」
しどろもどろに詩音は言う。
悠矢は苦笑して、詩音に積もった雪を払い、落ちた傘を渡した。
「いや、久しぶりに詩音の歌が聞けて良かった。それと……」
悠矢はそこでちょっと迷った。
言ってもいいのか、悪いのかがわからなくて。
だけど、悠矢は決心して聞くことにした。
「今のが、魔法?」
雪は音を吸収して、声すらいつもと違って聞こえる。
それなのに詩音の歌ははっきりしていて、とても綺麗に響いていた。
「それは魔法の副作用みたいなの。この歌の本当の魔法は、形成だよ」
ほら、と詩音は手のひらに乗せたものを悠矢に見せた。
それは、耳も眼も全てが雪で出来た、雪の結晶の模様の浮かんだ雪うさぎだった。
「すご……こんなのも作れるんだ……」
「たぶん、形成の魔法の中でも相当出来がいいよ、これ」
さらっと詩音が言った。
そうか、と悠矢は納得した。
詩音は魔法使いなんだな。
歌い終わった後、詩音は真っ先に悠矢に謝った。
「え、え?なんで?」
「私、なにかに対してすごく感動したり、感情が動かされると、歌いたくて歌いたくて、しょうがなくなって、他のことが見えなくなっちゃって……」
しどろもどろに詩音は言う。
悠矢は苦笑して、詩音に積もった雪を払い、落ちた傘を渡した。
「いや、久しぶりに詩音の歌が聞けて良かった。それと……」
悠矢はそこでちょっと迷った。
言ってもいいのか、悪いのかがわからなくて。
だけど、悠矢は決心して聞くことにした。
「今のが、魔法?」
雪は音を吸収して、声すらいつもと違って聞こえる。
それなのに詩音の歌ははっきりしていて、とても綺麗に響いていた。
「それは魔法の副作用みたいなの。この歌の本当の魔法は、形成だよ」
ほら、と詩音は手のひらに乗せたものを悠矢に見せた。
それは、耳も眼も全てが雪で出来た、雪の結晶の模様の浮かんだ雪うさぎだった。
「すご……こんなのも作れるんだ……」
「たぶん、形成の魔法の中でも相当出来がいいよ、これ」
さらっと詩音が言った。
そうか、と悠矢は納得した。
詩音は魔法使いなんだな。