夕闇の旋律
「雪うさぎはここに置いていこうよ」
夕方になって、寒さがつらくなって帰ろうという時に悠矢が言った。
「でも雪が降ったら埋もれちゃうよ?」
「ああ……じゃあ傘を差せば良いんじゃないか?魔法に、召喚ってある?これに合いそうな、小さな傘を呼び出すことって……」
「出来ないこともないけど……」
じぃっと詩音は悠矢を見上げる。
「なんだよ?」
「前から思ってたけど考えることがロマンチックだよね、悠矢くん」
くすくすと耐え切れなくなったのか詩音が笑う。
「……な、なっ…………詩音!!」
くすくすと詩音はひとしきり笑ったあと、心の底から楽しそうに歌った。
高くて、柔らかい声が紡ぐ歌に、悠矢は癒されてしまって、怒るに怒れないもやもやした気持ちになった。
でもすぐにその気持ちも溶けていく。
声は、悠矢のほうが心地良いものでも、歌なら絶対敵わないな、と苦笑しながら詩音の歌に耳を傾けていた。
詩音が歌い終わったとき、その手には日本人形が持っているような赤い傘が乗っていた。
「さすが、センス良いね」
「これくらいなら普通だよ。もっといいもの考える人もいるだろうし」
詩音はそういって、雪うさぎを守るように、雪に傘を差した。
二人はそれを見て、それからお互いを見ると、おかしそうに笑った。
夕方になって、寒さがつらくなって帰ろうという時に悠矢が言った。
「でも雪が降ったら埋もれちゃうよ?」
「ああ……じゃあ傘を差せば良いんじゃないか?魔法に、召喚ってある?これに合いそうな、小さな傘を呼び出すことって……」
「出来ないこともないけど……」
じぃっと詩音は悠矢を見上げる。
「なんだよ?」
「前から思ってたけど考えることがロマンチックだよね、悠矢くん」
くすくすと耐え切れなくなったのか詩音が笑う。
「……な、なっ…………詩音!!」
くすくすと詩音はひとしきり笑ったあと、心の底から楽しそうに歌った。
高くて、柔らかい声が紡ぐ歌に、悠矢は癒されてしまって、怒るに怒れないもやもやした気持ちになった。
でもすぐにその気持ちも溶けていく。
声は、悠矢のほうが心地良いものでも、歌なら絶対敵わないな、と苦笑しながら詩音の歌に耳を傾けていた。
詩音が歌い終わったとき、その手には日本人形が持っているような赤い傘が乗っていた。
「さすが、センス良いね」
「これくらいなら普通だよ。もっといいもの考える人もいるだろうし」
詩音はそういって、雪うさぎを守るように、雪に傘を差した。
二人はそれを見て、それからお互いを見ると、おかしそうに笑った。