夕闇の旋律
「たしか、五月さん?」

そうだ、思い出した。

五月と書いてさつきと読ませる変な苗字の委員長だ。

「そうよ」

「いったい、どんな用で……」

「貴方、面倒なもの押し付けられたわよ」

「はい?」

「何もしないで進級ってのは寂しいな、って言った先生が、じゃあ何か創作をしてもらおうって言ったのよ」

「それで、サポート役に幼馴染である俺と、委員長である五月に白羽の矢が立ったわけだ」

「……要点だけをわかりやすくまとめてくれてどうもありがとう」

とりあえず皮肉らしきものを言ってみた。

「どういたしまして」

さらりと流された。

「って、なんだよ創作って!何すりゃ良いんだよ!」

「その声を使ってみたらどうかしら」

「え……」

「私は良く知らないけど、声には魔法が宿ってるんでしょう?それで、橋本くんはその魔法が使えるって聞いたことがあるわ」
< 34 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop