夕闇の旋律
「頭良いなー五月。俺なんて言ってるかさっぱり」

ぼんやりと太一は呟いた。

「はっ。寝すぎて頭にもやでもかかってんだろ」

にしし、と笑いながら悠矢が悪態をついた。

「ねえねえ、詩音。悠矢くんの声帯ってどうなってるの?声変わりとかあっても変わらないの?」

「逆だよー。声変わりしたら魔力が変わるんじゃなくて、魔力が喉を変えるの。魔力が少ない人はだみ声、多い人は悠矢くんみたいな感じになるかな。もちろん喉を鍛えて魔力を増やすこともできるよ」

「あーもういい。魔法の授業はもういいよ。とにかく、悠矢はモノは創れないんだろ?」

太一が耳を塞いでしかめっ面をした。

詩音とミオはそれをみて苦笑する。

「そうだね。……ミオ、ネットとかで調べるだけでもいろいろわかるから、そうしてみたらどうかな」

「そうね、そうするわ。ここにはあんまり授業が好きじゃない人もいるみたいだしね」

二人は顔をつき合わせてくすくすと笑った。

詩音も普通の女の子みたいなとこがあったんだ、と悠矢は思った。

マッドなサイエンティストか不思議電波みたいなイメージがあったからな、と割とひどいことも思っていた。
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