夕闇の旋律
とりあえずこのCD聞いてみなさい、とミオに渡されたCDを聞いていた。

調べてみたらゲームソングだったので正直微妙な気分だったのだが、正直信じられない気持ちでいっぱいだった。

たった4つの楽器で、悲しい曲でもないのに人を泣かせてしまうほどの、聞き惚れてしまうくらい強い魔法のこもった音楽だった。

自分の作った大編成の曲もこれにはかなわなかった。

どんな思いで、どんな力をもってして、こんな音楽を作り続けるのか。

作曲した人、演奏した人、この曲にかかわったすべての人達の強い想いのこもった音楽。

ずっと聞いていたいと思うくらい素敵な旋律。

私は……今まで子供のままごとみたいな曲を作り続けてきたような気がした。

大事なものが抜けた、そっくりでも偽物の曲。

私は気づかなきゃいけない。

そして、何よりも、大事な彼のために私は作らなきゃいけない。

想いを一つにしなきゃいけない……奇跡を起こす、それを願って。

今までみたく、簡単に曲が思いつかない。

笑えてきた。

私はようやく、彼と同じ場所に立とうとしているんだ。

ゆっくりと頭を動かす。

楽器編成は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート……うん、これでいこう。

メロディーは……。
< 53 / 76 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop