夕闇の旋律
正午が近くなって詩音はそろそろ帰る、と席を立った。
「あ、ちょっと待って、詩音」
「どうしたの?」
「たとえば、なんだけどさ。全然違うことを願っている歌詞と曲が、それでも綺麗に響いて、魔法が紡がれることってあると思う?」
詩音は少し考えて言った。
「そしたらそれはきっと、魔法が作り出した奇跡なんかじゃなくて、本当に、本物の奇跡の歌なんだと思う。きっと思いもよらない魔法が紡がれるんじゃないかな」
「そっか……本物の、奇跡の歌か」
「作れるといいね、私たちで」
「作れる。絶対、作る」
「ふふっうん、頑張ろう」
「あ!詩音が最初に変なことに言ったから言い損ねてた!」
「え!?」
びくっと詩音が体を震わせた。
「退院、おめでとう。詩音」
「あ、そのこと」
悠矢の予想に反して詩音は変な反応を返した。
「こちらこそ」
「あ、ちょっと待って、詩音」
「どうしたの?」
「たとえば、なんだけどさ。全然違うことを願っている歌詞と曲が、それでも綺麗に響いて、魔法が紡がれることってあると思う?」
詩音は少し考えて言った。
「そしたらそれはきっと、魔法が作り出した奇跡なんかじゃなくて、本当に、本物の奇跡の歌なんだと思う。きっと思いもよらない魔法が紡がれるんじゃないかな」
「そっか……本物の、奇跡の歌か」
「作れるといいね、私たちで」
「作れる。絶対、作る」
「ふふっうん、頑張ろう」
「あ!詩音が最初に変なことに言ったから言い損ねてた!」
「え!?」
びくっと詩音が体を震わせた。
「退院、おめでとう。詩音」
「あ、そのこと」
悠矢の予想に反して詩音は変な反応を返した。
「こちらこそ」