夕闇の旋律
2月16日
公立の後期の試験が終わって、受験モードだった教室は弛緩していた。
試験が終わっても自由登校とかはないので、ほとんど全員がクラスにいた。
詩音と悠矢は秘密裏に国の経営する魔法学校に進学することが決まっていたため、勉強はしていても受験勉強はしていなかった。
国の魔法学校といっても、研究施設のようなところで、詩音は魔女だから強制、悠矢はおまけみたいな感じで入学することが決まっていた。
たぶん、名目は研究対象だけど、それについてはなれているので抵抗はなかった。
「おーい、悠矢」
いなかった数人のうちの一人である太一がマフラーぐるぐる巻きにして登校してきた。
「よ、太一。もう2限終わってんだけど」
「冬眠だよ、冬眠。ふぁ……冬は眠い……」
「でも太一くん、春は春眠暁を覚えずって言うし、夏は暑くて寝て耐えるしかないって言うし、秋は睡眠の秋って言ってるよね」
隣の席にいる詩音がくすくすと笑う。
席が隣だと仲良く喋っててもあまり違和感がないため便利だった。
メールや電話じゃ、どうも味気ないし、やっぱり、こうやって喋ってるのが落ち着く。
「寝坊で遅刻しすぎて第一志望内申ぎりぎりだったんだろ?少しは懲りろよ」
「んあー?無理。無理無理」
そう言って太一は悠矢の前の席に座った。
すると、詩音の前に座っていた委員長が振り返った。
仲良し4人組み、こうまできっちりそろうと何かの陰謀を感じずにはいられないが、これは公平なくじ引きによる席替えの結果のはずだ。
しかし、このことを詩音に話した時、詩音は曖昧に笑っただけだったので、なにかしたのかもしれない。
「ちょっと気になることがあるんだけど、二人とも、歌は完成したの?」
「俺はした」
「私も」
「お、まじで?じゃあせっかくだし聞かせてよ」
太一がせっついたが悠矢はそれを断った。
「まだお互い、なにを作ったのか確認してなくてさ」
「は?」
「知ってるのは自分が作ったものだけ」
「バカなの?あなた達……」
委員長が呆れたように溜息をついた。
公立の後期の試験が終わって、受験モードだった教室は弛緩していた。
試験が終わっても自由登校とかはないので、ほとんど全員がクラスにいた。
詩音と悠矢は秘密裏に国の経営する魔法学校に進学することが決まっていたため、勉強はしていても受験勉強はしていなかった。
国の魔法学校といっても、研究施設のようなところで、詩音は魔女だから強制、悠矢はおまけみたいな感じで入学することが決まっていた。
たぶん、名目は研究対象だけど、それについてはなれているので抵抗はなかった。
「おーい、悠矢」
いなかった数人のうちの一人である太一がマフラーぐるぐる巻きにして登校してきた。
「よ、太一。もう2限終わってんだけど」
「冬眠だよ、冬眠。ふぁ……冬は眠い……」
「でも太一くん、春は春眠暁を覚えずって言うし、夏は暑くて寝て耐えるしかないって言うし、秋は睡眠の秋って言ってるよね」
隣の席にいる詩音がくすくすと笑う。
席が隣だと仲良く喋っててもあまり違和感がないため便利だった。
メールや電話じゃ、どうも味気ないし、やっぱり、こうやって喋ってるのが落ち着く。
「寝坊で遅刻しすぎて第一志望内申ぎりぎりだったんだろ?少しは懲りろよ」
「んあー?無理。無理無理」
そう言って太一は悠矢の前の席に座った。
すると、詩音の前に座っていた委員長が振り返った。
仲良し4人組み、こうまできっちりそろうと何かの陰謀を感じずにはいられないが、これは公平なくじ引きによる席替えの結果のはずだ。
しかし、このことを詩音に話した時、詩音は曖昧に笑っただけだったので、なにかしたのかもしれない。
「ちょっと気になることがあるんだけど、二人とも、歌は完成したの?」
「俺はした」
「私も」
「お、まじで?じゃあせっかくだし聞かせてよ」
太一がせっついたが悠矢はそれを断った。
「まだお互い、なにを作ったのか確認してなくてさ」
「は?」
「知ってるのは自分が作ったものだけ」
「バカなの?あなた達……」
委員長が呆れたように溜息をついた。