夕闇の旋律
気になるのは、その寿々音の声と私の声も似ていること。

顔はあんまり似てないのに。

まあでも、広く言えば血はつながってるわけだから、こういうこともあるのかもしれない。

「これが、最後の歌だよ。これで、琳歌も魔法の問いかけが聞こえるはず」

「魔法の問いかけ?」

「そう。本物の奇跡を起こすために必要な力を、問いかけに答えればもらえるの」

「答えられなかったら?」

「ずっと今のまま」

「今のまま……」

「ほら、早く」

寿々音に急かされて歌いだす。

すると、頭の中から声が聞こえてきた。

『私の愛し子よ、私の望んだ世界と共にありますか?奇跡を信じて歌えますか?川をくだり、海原に出て、雨になって降るような気の遠くなる道を歩き、迷い、そしてたどりついた私の答えをあなたは導き出せますか?真理を知り、奇跡を使い、そして迷い涙を流している愛し子よ、私のいる場所へ、さあ……あなたが導きだした答え、全てを思い出して』

「え……」

私の、答え?思い出す……?

「お前、歌すげー上手いな」

「あ、え……?」

ふるっと心が震えるような感覚。

初めて聞くのに懐かしい声。

中世的な、柔らかくて心地良い声。

「ゆ、うや……くん」

「え?俺はツバサ……う、なんだ?なんか、忘れてるよーな……詩音?」

「「あっ……」」



寿々音は自らのうちにある詩音の思い出と二人を重ねた。

思い出の中より少しだけ成長した二人の姿が見える。

寿々音はそっと口ずさんだ。

「本当の奇跡は……ここから始まる♪」
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