導く月と花に誓う
…よし。
これ以上深入りしないことにしよう。
「…そっか、うん。へぇ…。
じゃあ、あたしスーパー行ってくるから」
「あ、おい!
俺の話はまだ終わってねぇぞ!」
なんて、出ていこうとするあたしを止める。
「いや、もう十分すぎるほど聞いたから、大丈夫大丈夫」
そう満面の笑みで返した後、砂狗を残してあたしはアパートを出た。
…帰りたくなったら自分で帰るだろう…
しかもこれ以上砂狗の話を聞いていたら、本気でいろいろ疑いそうだ…。
「砂狗さまは、表情が
柔らかくなられましたね」
「…えー…そうかな…」
「はい、それはもう」
それは、些か嬉しそうに微笑んだ。
…そっか。
確かに…最初より堅い表情はなくなった気がするけど、ね……。