導く月と花に誓う
―――“またね”
その言葉だけが、やけに耳について、嫌な予感を感じさせていた。
その後、あたし達は家へ着いても気まずい空気だけが流れていて、互いの間に何かとてつもない大きな壁が立っているようだった。
「……どういうことなの…」
「いずれはお伝えしようと思っていました。
……今まで黙っていて申し訳ありませんでした。
私はずっと、あなたを…
―――騙していたことになります」
「…………うそ」
ふいに出たあたしの言葉に、狐燈は「本当です」と頭を下げたまま答える。
「雅さまは、私の主です」
「っ、でも!
…あたしと契約したんじゃ…っ」
「すべては、雅さまのご指示です…。
仮契約の状態では、とてもあやふやになっていますので、自由に消滅させることも可能なのです。
契約をさせるために、私は…
貴方に近づいたのです。
貴方からすべてを、……奪うために…」
――……一番恐れていた、嫌な予感があたった。