導く月と花に誓う
───チュン、チュン、と小鳥の囀りがやけに大きく響く。
もう、あれから何日が経ったか…よくわからない。
ボーッとするたびに、あの時の光景が鮮明に頭の中で再生される。
…あたしは、んー…と寝返りを打って、気づいた。
…ああ、そっか…。
もういないんだっけ…。
あふ…、とあくびをしながら起き上がり、支度を済ませて、部屋から出る。
その時突然、ドンドン、と玄関の扉が叩かれた。
しばらく誰とも会いたくないんだけどな…
と思いつつ、玄関の扉を開ける。
有無を言わさず、その人は中へと入ってきた。
「よぉ、千秋!」
「……うわ」
「なんだよ、その反応!」
相変わらず騒がしいその人は、犬神の、砂狗だった。
「……あれ…、あいつは…?
あのうざったい狐」
キョロ、と部屋を見渡し、あたしに問いかけてきた時だった。