導く月と花に誓う



なにか、熱いものが込み上げてきたあたしは、思わずしゃがみこんだ。






「…おい!? どうかしたのか!?」


「……ごめ、…なんでもない…っ」



そう言ったものの、どんどん熱いものが溢れてくる。



すると、砂狗もしゃがみ、ぽすぽす、とあたしの頭を撫でてきた。






「…泣くなよ」


「泣いてないわ」


「うわっ、んだよっ!
かわいくねーやつ」


「…うるさい。
あたしがこれくらいで泣くわけないでしょ」





そうだよ。


今まで、いろいろ経験してきたんだ。


こんなところでへこたれる、あたしじゃない。






「…ありがとう」


「……は?」


「なんか元気出ないけど出た」


「どっちだよ」




そう言いながら、砂狗がハハッと笑う。











< 108 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop