導く月と花に誓う
あたしと妖狐
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光とともに、チュンチュン、と鳥のさえずりが聞こえてくる。
朝だ…
学校、行かなきゃ…
まだ眠く、重たい身体を起こしふわ…、と大きく、あくびをした。
それから、んー…と、大きく伸びる。
「千秋さま、おはようございます」
そんな、いい感じの低い声が聞こえてきて。
あたしの目の前で跪きながら挨拶してくるのは誰が見ても、ついつい見とれてしまうほどの容姿を持つ男の人。
…なんでそんな人があたしの部屋に……
…ああ…、そうだ…
すっかり忘れていた…。
ハァ、とため息をつき、額に手をあてる。
あたしの眠気はすでにふっ飛び、昨日の出来事が鮮明に蘇ってきた。
『──…だいたい事情はわかったけど…』
彼が一体何者なのか、が
あたしには気になって仕方ない。
…かといって、初めて会った人に聞く勇気もない。
ただわかったのは、
ずっとあたしを探していた、ということと…
あとは、たぶん……
遠くからやってきたんだろうな…ってことくらい。
『私は貴方に会うために、ここまで来ました。
千秋さまが不要だと仰るならば、
私は今すぐにでも消える所存です』
なんて、微笑みながら、何気恐ろしいことを口走ってくる。
『…いや、あの…そこまで言ってないんだけど…』
こんな状況とは裏腹に、風が爽やかにあたし達の横を吹き抜けた。