導く月と花に誓う
しかし。
「………?」
んん?と左右に首をひねって考えるも、よくわからない。
「お前は頭がいいのか、悪いのか」
と、ケラケラ笑われる始末。
「…東条がいなくなった今もあの家にはまだ契約が続いているんだ。
だが…それは、もはや仮でしかない。
なんせ、本当の主はもう存在しないからな」
「…と、いうことは……」
「…妖怪は、役に立つ。
その家に仕えれば、繁栄する。
あいつはまだ、あの家に繋がれているんだ。
いくら仮だとしても、この場合あやふやなものではない。
…新たな契約が成立しない限り、あの家からは逃げられない。
いや、…あの女が解放すれば契約はほぼ無くなるも同然か」
ざわり、と風が吹き、木々がざわめいた。
そして、と鬼野郎は言葉を続ける。
「あの女は、今度は自分のものにしようとしているのかもな…」
…あぁ、そっか…。
あれは、そういうことだったんだ。
突然、行方を眩ましたんじゃなかった。
……すべては、おじいちゃんだったんだ…。