導く月と花に誓う
…狐燈は、たった一人の…
自分をありのままに見てくれる主を亡くしてしまったから…
あの場所…あの家から、逃げたんだ…
しかし、仮の状態といっても、契約という鎖に繋がれているのは変わりない。
必ずは、そこへ戻らなければいけない。
…あたしの契約は、意味のないことだった、ってことじゃん…
…あ、そもそも契約といっていいのかもわからないものだった…。
………なんか微妙というか複雑というか…。
…雅は、それを利用したってことかな…。
そして、あたしを手っ取り早く陥れるために、それが最短だと考えた…?
…そっか…
時々見せていたあの瞳は、もしかしたらこういうことだったのかもしれない…。
あの言葉も……
雅が主なんて、嘘だ。
騙していたなんて、全部嘘だ。
すべては、逆らえないがために…。
今、雅があたしの前に現れたのはあたしより先に“自分”を主とするため。
でも、雅には一つ…
たぶん、本人も気づいていない失敗がある…。