導く月と花に誓う
…それは。
昔、あたしが狐燈を救った、ということ…。
あ…いや、救ったつもりはないから…
……あたしと狐燈が、出会っていたということ。
おそらく雅は、その事実を知らない。
まるっきり初対面、だと思っている。
…………。
吹き抜ける風は頬を撫で、どこからか、子供達の声が響いてくる。
「…鬼藍さんって意外と、いい妖怪だったんですね」
「……あ?なんだいきなり…
気持ち悪い」
「いや、全体的に変態で出来ているのかと…」
「お前、とことん失礼なヤツだな」
「おあいこです」
と、微かに笑う。
「…お前…いったい何を考えている…」
訝しそうにあたしを見て言った鬼野郎に対して。
「……別に、何も…?」
いつもの仕返しだと思い、ふっ、と笑い返してやった。