導く月と花に誓う
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「──……狐燈…?」
その声で、ハッ、と我に返った。
「…なんでしょうか?」
そして、すぐにその方を向き、答える。
「あなた、最近可笑しいわよ?」
「…そうですか?」
そんなことはありません。
と付け加え、微笑んだ。
「…まぁ、いいけど…。
それよりあたし、そろそろ貴方の姿が見たいんだけど…」
「…私の姿は醜いゆえ…
とても、貴方にお見せできるものではありません」
そう、ニッコリと、誤魔化すように笑顔を向ける。
「でも、千秋には見せたらしいじゃない」
『…別に、あたしは姿なんて気にしない』
……今さら、だ。
今さらそんなことを思い出したって…
ハァ、と顔を手で覆いたいのをグッとこらえ、彼女を見やる。
「…そうね。
そんなに急ぐ必要はないわ…」
そう呟いて、スッ、と視線をこちらに向けると椅子から立ち上がり、静かに近づいてきた。